立ち読み Shinkosha Book Web 新講社

「先のばしぐせ」はこうして直す
斎藤茂太
ISBN:4-86081-085-6 C0095
発行年: 2005年8月8日
定価: 1,365円(税込)

第4章 人にふりまわされない自分をつくる
●「みんながやっているから」で、自分のことを先のばしにする人
 みんながやっているから、自分だけ違うことができない。だから、ほかにやるべきことはあるけれども後まわしにして、みんなに合わせて自分もやろう……こういうケースはあんがい多いように思う。
 片づけなければならない事務的な作業が溜まっているけれど、営業部の同僚たちが外まわりに出かけてゆくのを見ると、自分だけが会社に残って事務的な作業をするのは心が引ける。サボっているかのように思われたのではバカみたいだから、自分も仕方なく外まわりにゆく。
 意味のない残業も多いだろう。みんなが残業をやっているから、自分だけ先に帰るのもはばかられて、やる必要のない残業をやる。その結果、帰宅時間が先のばしになる。そして、ひさしぶりの家族との団欒の時間も先のばしになる。
 何から何までみんなに合わせることはない。自分は自分、と考えることができるのも、先のばしぐせを直すコツだ。
●自分のやり方にこだわると、先のばしぐせが生まれる
  人は人、自分は自分で、人にふりまわされないことが先のばしぐせを直す……とはいっても、あまりに「自分のやり方」にこだわるがゆえに先のばしになっているケースも多い。たとえば、人のアドバイスを受け入れればうまく展開することはわかっているのに、「自分には自分のやり方がある」と、執着する。
 その心の中は、おそらく「自分のやり方は間違っていない。もしここで人のアドバイスを受け入れたら、いままで自分がやってきたことは何だったのか」という思いがある。その信念は尊いが、そのために事態がいつまでも停滞したままというのであれば、これも「先のばしぐせ」の一種だろう。
 人の言葉に従うことのできる度量の広さを持つことも、先のばしぐせを直すためのコツとなる。また、あなたの周りに、「仕事の早い人」がいたら、まずはその人のまねをしてみよ、ともいっておきたい。
 そういう人は人生や仕事の面でヒントになることをたくさん持っている。それを自分に取り入れるための、もっとも手っ取り早い方法は「まねる」ことだ。
●その言い訳がましさを直せば、先のばしぐせはすぐに直る
 先のばしぐせがある人には、たいてい言い訳ぐせがある。考えてみれば、このふたつのくせは「切っても切れない仲」だ。
 すぐにできなかったこと、先のばしにしてしまったことを、グダグダと言い訳するのは自然の流れのようにも思う。
「ぼくって生まれつきの怠け者だから、すぐにやろうとは思っているのだけれど、すぐにできなくて。こんな性格、われながらイヤになっちゃうんだけど」
 といった言い訳、どこまで通用するのだろうか。
「すぐにやろうと思ったんです、ほんとうに。そうしたら、あの人から電話がかかってきて……ほら、あの人、取引先の……すぐにきてくれっていうから、それでこちらのほうは後まわしになっちゃってね」
 という嘘か真かわからないような言い訳をする人もいる。相手に電話して確かめるわけにもいかず、うやむやのまま納得せざるを得ないのだから、やりきれない。
 こういう人は、まずは、その言い訳ぐせを直さないかぎり、先のばしぐせも直らないだろう。面倒くさくなったら、「後まわしにしよう。また、うまいことをいって、ごまかしてしまえばいい」という考えが当たり前になる。
「やるべきことは先のばししたりせずに、ちゃんとやろう」と考えている人は、どんなに言い訳したい状況になっても、けっして言い訳しないものだ。見習いたい。
<まとめ>
 ◆人からよく思われたい、みんながやっているから、ライバルに負けたくないから……で、肝心なことが先のばしになってゆく。人にふりまわされるのはやめよう。
 ◆我を張り過ぎるのも、人にふりまわされるのと同様に、先のばしを生み出す。人からのアドバイスは上手に受け入れて、先のばしぐせを直そう。
 ◆先のばしにしたことの言い訳をするのはやめよう。言い訳ぐせを直せば、先のばしぐせも自然に直ってゆく。すぐにやる人、ちゃんとやる人は、言い訳しない。

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